政党・マスコミでは小泉改革の光と影という論調が多いですが、果たして純粋で精緻な経済分析に基づいたものでしょうか?
ためにする論調ではないでしょうか?


当研究所では、データに基づいて小泉改革の光と影について、順を追って解説する計画です。

ぜひとも、皆様のご批判とご意見を賜りますようお願い致します。

小泉改革がなしえたことと問題点をデータで証明することによって、小泉改革を継続しなければならないことは何か、フォローしなければならないことは何かについて議論したいと思います。

【概要】
1.「小泉改革の光と影」とか「格差社会」という言論は感覚的過ぎないか?(野党批判・マスコミ批判)
2.小泉改革は生産指数(など)で成功し、消費(など)で失敗している
3.小泉以前(73〜2001)の景気指標(多数)を周波数分析して、傾向線(三角関数の集合)を算出し、この延長線と小泉以降の実測値(多数)をそれぞれ比較して小泉改革を評価する。
4.周波数分析による傾向線(三角関数の集合)のパラメーターである三角関数の周波数と振幅(貢献度)を各景気指標について検証しグルーピングする。
5.小泉改革の成果を継承して、フォローする方法

以後の内容はカテゴリー・ページの、「論点」と「論点の簡単・明瞭バージョン」に続きます。

「論点」:正式バージョン

「論点の簡単・明瞭バージョン」:文字通り」簡単・明瞭

左ガイドのカテゴリー「論点」「論点の簡単・明瞭バージョン」をクリックしてください。
資料だけ見たい場合は「資料」をクリックしてください。


2006年06月23日

小泉改革の大所高所

多数のブログと情報交換してきましたので現時点で整理しました。

●小泉改革の大所高所
1.官民格差の是正(土建・郵政・公務員)
2.官業の廃止・縮小
3.産業構造改革(自由競争・規制緩和)

●格差問題の大所高所
1.格差の根本原因は中国である
2.税制は再分配所得格差縮小機能を果たしていない
3.社会保障が再分配所得格差縮小機能を担っているのは遣り過ぎで、その結果制度疲労を起こしている

●政治と経済の大所高所
1.生産=サプライサイド=企業責任=完全自由競争=当初所得格差拡大
2.消費=デマンドサイド=政府責任=結果平等=再分配所得格差縮小

生産部門(民間)の役割は合理性の徹底追求によるGDPの向上ですから、当初所得の格差拡大は止むを得ない。それを是正するのが政府の役割ですね。
その手段は社会保障なんかではなくて税制です。

小泉改革は言い換えれば、
生産=サプライサイド=企業責任=完全自由競争=当初所得格差拡大
消費=デマンドサイド=政府責任=結果平等=再分配所得格差縮小

の分離であって、 この分離作業は政治にしかできないのですが、それしか頭にない小泉は政治家失格です。政治家としては再分配所得格差縮小をしなければならないのですから。
とは言っても分離作業をできなかった従来の政治家はそれよりも尚更政治家失格ではないでしょうか。

●ポスト小泉政治の大所高所
1.中国投資・中国貿易が地方経済を崩壊させたことへの対策
2.社会保障制度をジニ係数改善の頚木から開放して税制に負わせること
  (クリントン改革にならって増税と減税の組み合わせ)

小泉改革の役割は官業の廃止・縮小までです。税制改革による再分配所得の格差縮小はポスト小泉に求めましょう。

我々国民は一方では生産面で最適の行動をして、他方では再分配によって格差を縮める方策を持っている政党に投票すればよい。

ただし「小泉改革」によってもたらされた生産活動の自由化(官民格差の是正・参入障壁の排除)をないがしろにして、日本経済を再度不況に落とし込むような生産活動を推進する政党は最初からお断りしたい。
(土建・郵政・官公労に支持されている民主党、媚中姿勢から抜けきれない福田)


<詳細説明>

1990年代の当初所得のジニ係数(税などによる再分配前)悪化の原因は中国投資・貿易による地方経済の崩壊に伴う倒産・失業・臨時雇用増加であることは論を待ちませんね。これに対する政府の無能ぶり、無策ぶりに対して日本国民、わけても地方在住国民は声を大にしなければならないでしょう。

何が失業率を増やしたか? 
これを見れば、日本の対中輸入額が完全失業率と平行していることが見て取れます。
何が失業率を増やしたか? エクセル
のデータ部分にある完全失業率との相関係数は下記の通り。
1.000 完全失業率
0.966 臨時雇用
0.946 日本の対中輸入額
-0.929 自営業主
0.876 日本の対中輸出額
0.858 日本の対中直接投資実際投下額
-0.853 建設 民間等
0.844 ジニ係数 勤労者世帯
-0.841 家計消費支出
-0.760 稼働率指数
0.740 元/対ドルレート
-0.634 建設 公共機関
0.480 常雇
-0.256 建設 海外

臨時雇用や自営業主という同じ事態の別の表現であるものを除くと日本の対中輸入額、日本の対中輸出額、日本の対中直接投資実際投下額が原因として上位を占めています。そうです、日本の完全失業は中国によってもたらされたものです。こんな重要なことをどうして政府も財界も労働界もマスコミも隠すのでしょうか?
真の原因を追求しないで効果的な対策が立てられるはずがないじゃないですか!!
小泉改革による規制緩和が原因であると言うのは大嘘です。
また公共事業の減少が地方の疲弊(失業・臨時雇用)の原因であるというのも意地の悪いプロパガンダです。「建設 公共機関」の相関係数は-0.634しかありません。

所得格差には給与など経済活動による所得(当初所得)の格差と税金など政府による格差是正後の所得(再分配所得)の格差があります。
所得格差の推移(ジニ係数)
を見れば、当初所得も再分配所得も次第に大きくなっていますが、それでも、再分配所得の格差は政府の関与によって必死に公平を保とうとしてしていることが解ります。政府の関与には税制と社会保障がありますが、なんと、税制による格差是正は殆ど効果がなくて社会保障が公平化に貢献しています。おかしいですね。社会保障は社会保障であって公平化が目的ではありません。公平化が目的である税制が公平化に貢献していないとはなんというアホな事態でしょうか?

格差というものは文明国家としてあまり自慢できることではありませんので、財界人は当初所得のジニ係数を、政府は再分配後所得のジニ係数を神経質に見守るべきです。ですから、高齢者の(再分配後)所得ジニ係数が依然として大きいことを政府は恥じるべきですよね。
「当初所得のジニ係数? そんなもの政府の関与するべきことじゃありませんよ」と言い切ってしまえば良いものを再分配後所得のジニ係数という弱み(特に税制の無力化)があるから政府は言えないのでしょう。

国民年金に加入しない若者ーーー当たり前ですよ。年寄りを食わすためになんで若者が負担しなけりゃならんのですか。そんなものは、年寄り同士で工面すれば良いじゃないか。ということを、自分が年をとったときの若者も考えるだろうな〜〜、面倒見てくれないだろうな〜〜、見返りがない負担を誰が喜んでするものですか!!

年齢階級別所得再分配状況
このグラフを見たら、若者が社会保険に参加したくなくなる気持ちが解りますよ。高齢者は若者よりも少ない負担(税金+社会保険料)で膨大な社会保障を受けています。高齢者の中にこそ高額所得者が大勢いるにも関わらず、同年輩の社会保障の負担を若者に押し付けているのです。

2002年所得再分配によるジニ係数改善
これを見れば、高齢者の当初所得(黒太線)のジニ係数が0.6〜0.8という想像を絶するもので、これは暴動寸前のあたいです。(ジニ係数0.5の中国は暴動寸前
それをなんとか是正して0.4台(黒細線)にもっていっているのは社会保障で、その財源は若者の税金と社会保険料(赤線)です。どれだけ所得移転すればジニ係数が改善できるのかというジニ係数改善度/再配分額(世帯数計)(黄線)を見れば、高齢な程その効果が薄れています。なぜか? それは高齢者にはとてつもないお金持ちがいるからですよね。ばかばかしいじゃありませんか。高齢者の問題は高齢者の間で解決するのが筋というものでしょう?

しかも、
世帯主年齢階層別ジニ係数の推移(当初所得) (家計調査)
世帯主年齢階層別ジニ係数の推移(再配分所得) (家計調査)
を見比べれば、当初所得ジニ係数は年を追うごとに、歳を取るごとに悪化するばかりで、再分配所得ジニ係数も概して悪化しています。若者による負担の限度を超えているというべきでしょう。

もう既にこの制度は制度疲労に陥っております。どうせ壊れる制度ならってんで社会保険庁はムチャクチャな悪事を働いているじゃないですか。

生産部門(民間)の役割と政府の役割を端的に表現している記事を紹介します。
縦並び社会・格差の源流に迫る:ブレーキなき規制緩和
◇宮内議長インタビュー◇

宮内義彦オリックス会長 96年に規制緩和小委員会の座長に就任して以来、10年間にわたり規制改革を提言する機関のトップを務めるオリックスの宮内義彦会長(70)に、最近の格差論議をどう見ているか聞いた。

 −−規制緩和の進展が格差拡大を助長しているという議論がある。

 「格差とは所得再配分の問題だ。税制や社会保障を通した格差是正のために政治は存在する。生産(経済)の方の問題ではない」

 −−失業すると正社員になれず、派遣社員になるしかない現状がある。

 「規制緩和の前後でどっちが失業率が高いと思うか。パートタイマーと無職のどちらがいいか、ということ」

 −−規制緩和の進んだタクシー業界は、労働条件の切り下げ競争になっている。

 「安全基準、労働条件をきちっと守る前提でなければ競争してもらっては困る。確かに運転手の収入が減ったというクレームはある。同時に利用者にとっては台数が増えて便利になり、新しい雇用も生んでいる」

 −−著書で日米の間に社会の望ましい地点があると言っている。

 「生産は市場経済のメカニズムを使う米国型でやるが、分配をどうするかは日本人のコンセンサスを得ることが必要だ。ただ公共投資ばかりやっていては日本は沈む。やはり(米国に近づくために)太平洋に船出しなければならない」

 −−日本型の分配システムの問題は。

 「格差をなくしたために社会に活力がなくなった。私は長い間社長をやったが、びっくりするような給料を取ったことはない」

 −−事後チェックルールは整っているか。

 「そこは各官庁の腕の見せ所。人手とお金がかかるものだという認識が必要だ。現在は移行期で嵐の中にいる。この程度で我慢できずに放り投げるようでは、日本経済はうまくいかないだろう」

「格差とは所得再配分の問題だ。税制や社会保障を通した格差是正のために政治は存在する。生産(経済)の方の問題ではない」
すなわち、
生産面での最適化を図るために企業は責任と自由を持っている。当初所得に格差を出すか否かも企業の責任と自由である。

一方、そのようにして生まれた格差をどう縮めるか、それは政府の責任と自由である。

これは正しく正論だと思います。
生産=サプライサイド、消費=デマンドサイドの完全分離です。


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